
Lee_seonghak / Pixabay
職場でのツバメとの戦いはまだ続いている。
全くあきらめの悪い鳥だ。
こちらがどれだけ手を尽くしても、不死鳥のごとく何度でも舞い戻って来る。
そんなツバメたちとの戦いに夢中になり、僕は背後から新たな敵が忍び寄って来ている事に気がついていなかった。
僕がツバメと戦いを繰り広げている間に、会社の裏手に蜂が巣を作っていやがったのだ。
会社の裏手には倉庫があり、そこに用事があって行った人が僕に、
「何かやたらデカイ蜂が数匹、倉庫の周りを飛び回っているけど、あれ大丈夫?」
と報告して来たのだ。
何だよ、見つけたならそっちで処理してくれよ。
そんな事を思いつつ、倉庫へ行ってみると・・・
いるよ、デカイ蜂が。
4匹くらい倉庫の周りをブンブン飛んでいらっしゃる。
「あれは、絶対に巣が出来てるな・・・」
一目見てそう確信した。
幸い、あまり人が来ない場所だから何かしらの被害が出る可能性は少ない。
しかし、放置しておくと巣がデカくなり、会社の表にもやたら蜂が飛んで来るようになるに違いない。
「早く何とかしなければ・・・」
表からはツバメの猛攻、裏からは蜂の奇襲。
一体どんな四面楚歌だよ・・・
すぐにホームセンターへ行ってハチアブマグナムジェットを大量に買って来る。
先週、倉庫に行った時はあの蜂を見なかった。
きっとまだ巣は小さいに違いない。
業者などに頼む前に、自分の力でやってやる・・・・!
そんな静かな決意を胸に、両手にアブハチジェットを装備。
気分はさながらマシンガンを手に戦場の最前線に立つ兵士だ。
深呼吸を一回して、いざ尋常に勝負!
飛んでいる蜂めがけてハチアブマグナムジェットを噴射する。
突然の奇襲に慌てふためく蜂たち。
2匹は飛び去り、もう2匹はコチラめがけて猛然と突っ込んで来る!
「危ない!逃げて夫!」
そんな脳内音声を聞きながら、ハチアブジェットのトリガーを緩めず冷静に対処する夫。
凄い勢いでコチラに近づいて来る蜂たち。
何を、こちとら射程距離は11メートル!
その距離を詰められるもんなら、詰めてみやがれ!
と言わんばかりに蜂めがけてダブル噴射!
二方向から噴射をまともに喰らって怯む蜂たち。
そしてついには勢いに押されて、距離を詰める事を諦めて逃げて行く残りの2匹。
「フハハハハッ!人間様に勝てると思うなよ!」
しかし本当の問題はここからだ。
巣がどこにあるのかを確認しなくてはならない。
パッと見たところ、見えるところに巣らしきものは無い。
可能性が高いのは、倉庫の入り口の横の木材が置かれている辺りだろう。
試しにその辺りにアブハチジェットを噴射すると、「ブブブブブ!」と羽音がする。
ある。
絶対にあの木材の影の何処かに蜂の巣がある。
飛び出して来る蜂の大きさに恐れを隠せない自分。
もし、蜂に刺されることがあれば、アレルギー反応出るだろうなぁ・・・
そう思うと、僕も怖くてそれ以上近づけず、膠着状態に陥ってしまった。
ビビりながらも音がする辺りにジェットを吹きかけると出るわ出るわ、蜂たちが慌てふためいて飛び出して来る。
あまりにたくさん蜂が飛び出して来るのを見て、ビビりまくる夫。
「これ以上は、危険かもしれない・・・」
一応、ありったけのハチアブジェットを吹きかけ、それでも羽音が鳴り止まないので、諦めて業者に連絡する事に。
すると業者の人は手早く蜂の巣の場所を特定し、駆除してくれた。
あれがプロの技か・・・。
こうして無事、蜂の巣は駆除された。
人間は蜂の奇襲攻撃に対して勝利を治めたのだ!
しかし、まだツバメとの決着がついていない。
戦いはまだ続いている!